高タンパク摂取と腎臓の関係は?
2018/10/03
こんにちは、LAMUDA代表の横山です。
色々な方に、「そんなにタンパク質とったら内臓に悪いんじゃないの?」という心配をよくされますが、本当に高タンパク質摂取は内臓に悪いのでしょうか?
今回は「高タンパク摂取と腎臓の関係」について説明していきます。
そもそも、タンパク質とはいったいどういうものなのでしょうか?
炭水化物と脂肪はどちらも炭素(C)と水素(H)、酸素(O)を元にしてつくられています。
だからこの2つの栄養素は「CHO(チョー)」が材料となっています。
タンパク質の場合はチョーに加えて窒素(N)が加わります。
つまりCHON(チョン)。
ただしタンパク質の中には硫黄(S)があるものもありますので、正確にはCHONS(チョンズ)となります。
CとH、Oは簡単にエネルギー化されて最終的に二酸化炭素(CO2)と水(H2O)になります。
しかしNやSがあるタンパク質は、そう簡単にエネルギーになることはできず、老廃物ができてしまいます。
「プロテインを飲むと、オナラが臭くなる」なんて話を聞くことがありますが、それは硫黄(S)のニオイなのです。
そして問題なのが窒素(N)。
これはアンモニアとなります。
アンモニアは神経毒性があり、生体にとっては毒物となりますので、肝臓において迅速に「尿素」に変換されます。
これを行う回路を「尿素回路」あるいは「オルニチン回路」と呼びます。
尿素回路においては、アミノ酸のオルニチンやシトルリン、アルギニンが活躍します。
これらのアミノ酸はお互いに可逆的で(オルニチンがアルギニンになったり、逆にアルギニンがオルニチンになったりできる)、また生体にとって重要な回路ですので、これらのアミノ酸は基本的に体内で合成が可能です。
また「アスパラギン酸」も尿素回路で活躍しますが、これはTCAサイクルにおけるオキザロ酢酸とグルタミン酸から合成されます。
オキザロ酢酸とグルタミン酸のどちらも体内には豊富にありますので、まずアスパラギン酸が不足することはありません。
しかし体内での合成に任せず、アルギニンやシトルリンを外部から摂取しておくことにより、尿素回路を活性化することができます。
スイカを食べると利尿作用が感じられると思いますが、それはスイカに豊富に含まれるシトルリンの作用によるものです。
アスパラガスにも利尿作用はあり、それはもちろん名前の由来にもなっているアスパラギン酸の作用によるものです。
つまり体内で豊富に存在するものであっても、外部から摂取することによって代謝は活性化するのです。
プロテインを飲むと体臭がするようになった・・・という人がいます。
それはタンパク質摂取量増大に伴い、尿素回路のキャパを超えてアンモニアが増えてしまったためです。
そのような場合はアルギニンやシトルリン、オルニチン、アスパラギン酸などの摂取により解決可能です。
ちなみにホエイプロテインにはアルギニンが少ないという弱点があります。
大豆プロテインは逆にアルギニンが多いため、体臭が気になるという方はホエイに代えて大豆プロテインにしたほうが良いかもしれません。
さて、尿素回路が活発になるということは肝臓や腎臓に負担がかかるわけですが、よく言われている「高タンパクは腎臓に悪い」 というのは証明されているのでしょうか?
糖尿病でかつ腎疾患を抱えている人たちを観察した研究では、5.5年間の間に31.7%の患者が腎疾患を悪化させ、8.3%が死亡しました。
そして果物を多く食べていた患者はリスクが低下しており、適度なアルコール摂取もリスクを低下させるとともに死亡率を下げました。
また塩分の摂取量は腎疾患悪化と関係がありませんでした。
果物のカリウムやファイトケミカル、アルコールのストレス軽減作用などが効果を顕しているのかもしれません。
面白いことに、タンパク質摂取の少ない群はタンパク質摂取の多い群に比べて、腎疾患が悪化していたことです。
つまり腎臓に問題があるような場合でも、ある程度のタンパク質は生体にとって必要であり、過度のタンパク摂取制限はかえって疾患を悪化させるということになります。
ということで、常識的なタンパク質摂取量でしたら、多めであっても腎臓に負担をかけることはありません。
では、適切なタンパク質摂取量とは、いったいどれくらいなのでしょうか。
次回に続きます。
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